「PORTFOLIO」「SEXY ROBOT」80年代のアートシーンの話題をさらった2つの作品集が蘇る


玄光社から、80年代のアートシーンの話題をさらった2つの作品集が復刻された。故・ペーター佐藤さんの作品集「ポートフォリオ」と、巨匠・空山基さんの作品集「セクシーロボット」だ。復刻といってもそこには新たに人の手が加わり、「イラストレーション」という表現が眩く輝いていた80年代の空気をいまに伝えている。

PORTFOLIO SEXYROBOT COVER

 

■時を超えて蘇った、パステルカラーのペーターズワールド

ペーター佐藤 作品集 ポートフォリオ(復刻版)

イラストレーター、ペーター佐藤さんが48歳の若さで世を去ってから20年余り。このたび、その絶頂期ともいえる1987年に刊行されたデビュー20周年記念作品集『PORTFOLLIO』が蘇った。

PORTFOLIO
2015年2月23日発売
A4変判 104ページ
定価:本体1,800円+税
http://store.genkosha.jp/?pid=87037924

ペーター佐藤さん(1945-94)は「ミスタードーナツ」のパッケージイラストレーションやファッション誌の表紙絵などで広く知られた日本を代表するイラストレーター。人気絶頂だった1994年、惜しくも48歳の若さでこの世を去ったが、その作品は今なお新鮮さを失わず、特にパステルによる温かみのある人物画は多くのファンに今も愛され続けてる。

本作品集はペーターさんのデビュー20周年を記念して企画され、彼の代名詞ともいえるパステル・ドローイングの作品はもちろんのこと、デビュー前の作品から70年代のエアブラシ作品やクロッキーまで、主な仕事や作品300点あまりを網羅。また、各年代ごとに作品をまとめ、その変遷する表現技法を確認することができ、いわばペーターズ・クロニクルともいうべき構成になっている。

掲載されている本人のポートレートや仕事場の写真は故・稲越功一氏の撮影による。また、ペーターさんが自身の制作や表現、好きなものについて語った言葉の数々、宇野亞喜良氏やスズキコージ氏などペーターさんと親しかったイラストレーター、編集者、ファッション関係者のコメントもちりばめられ、その在りし日の人柄や温かみも伝わってくる。


ページデザイン、レイアウトはオリジナル版を忠実に再現しているが、再刊にあたっては、収録作品のほとんどを「ペーターズショップ&ギャラリー」で大切に保管されているポジフィルムから新たにデータ起こしし、一部原画の再撮影を行なった。色校正にあたっては、ご遺族の頭のなかに残っている、描かれた当時の鮮烈なイメージとのすり合わせがなされ、微妙な色調整が行なわれたという。

奇しくもこの復刻版が企画された2014年はペーターさんの没後20年にあたっていた。ペーターさんが、デビューから日本を代表するイラストレーターに駆け上がるまでの20年を追った作品集が、その没後20年を経て蘇ったことはファンにとっても感慨深いことだろう。

ペーター佐藤原画展開催中
渋谷区神宮前のペーターズギャラリーでは、3月6日から、ギャラリーオープン30周年記念企画の第一弾として「ペーター佐藤原画展」が開催されている。
詳しくはこちら。

■空山さんは「1000点超」にこだわった

空山基 作品集 セクシーロボット・ギガンテス

長年にわたりファンタジーなエロスの世界を描き続け、国内はもとより海外にも多くのファンを持つイラストレーター・空山基さんの代表的な作品集「セクシーロボット」が、完全新編集で装いも新たに最新作品集として生まれ変わった。

SEXY ROBOT
2015年2月23日発売
A4変型判 128ページ
定価:本体1,800円+税
http://store.genkosha.jp/?pid=87040306

空山さんの名を一躍有名にしたのは、女性の曲線美にメタリックな金属表現を融合させたセクシーなロボットのシリーズだった。1983年に刊行された作品集「セクシーロボット」はロングセラーとなり、海外版も発売され、80年代のイラストレーションシーンをリードする存在に。その後も新たなエロティック表現に取り組む一方で、MOMAのパーマネントコレクションとなったペットロボット「AIBO」のデザイン、世界的なファッション&スポーツブランドや有名キャラクターとのコラボレーションを数多く手がけるなど、活動の幅を広げている。


本書は代表作「セクシーロボット」シリーズを中心に、ライフワークであるピンナップガール、美女とメタリック表現を組み合わせた作品群、動物の持つかわいらしさ、形や動きのユニークさを見事に捉えたアニマルロボットたちなど、あらゆるジャンルの代表作を網羅。初期作品から最新作まで、収載作品は1000点を超えている。

ファンにとってうれしいことに、空山さんが制作のために描いた貴重なスケッチも公開。1980年に「イラストレーション」誌に掲載されたHow to Drawも再録した。編集者・写真家の都築響一氏との対談ではその制作の原点、エロティシズム表現のありようについて自身のポリシーを語っており、長年のファンはもちろん、これから空山作品に親しみたい人の入門書としても最適だ。

企画の初期段階から、空山さんはこの1冊に1000点を超える作品を掲載することにこだわっていた。担当編集者は半ば冗談だと受け取っていたが、当の空山さんはいたって本気。本書は、そんな空山さんの熱い思いが詰まった作品集だ。ちなみにタイトルの「GIGANTES」(ギガンテス)は「巨大」「巨人」を意味するラテン語。文字通り、イラストレーション界の巨匠の作品がたっぷり収納された巨大なアーカイブになっている。