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イラストレーターのお仕事帳

イラストレーターのお仕事帳 ~No.007 コナガイ香さん~

イラストレーションファイルWebに掲載中の作家にフォーカスする連載を毎月お届け。クライアントワークにまつわる5つの質問をとおして、イラストレーターの仕事との向き合い方を紹介していきます。第7回でお話をうかがったのは、コナガイ香さんです。

 

┃クライアントワークを受注するために普段していること

基本はInstagramとイラストレーションファイルWebなどの登録サイトを月1くらいの頻度で更新しています。HPもありますが、今はほとんど運営しなくなっていて1年に1回更新するくらいです。ただ名前のある会社さんはHPがある方に発注したいという傾向が強いようで、SNSで知ってもHPを検索して、これまでどんな仕事をしてきたかチェックされることが多い印象があります。

中にはかなり昔の仕事を見てご依頼くださる方もいて、今と絵のテイストが違うため受けることが難しいことを伝えると「じゃあ今のテイストで」とすんなり言っていただけて、意外と受け入れてくれるんだなと思いました。

 

また、発信の仕方と並行して、受注する仕事そのものを見直した時期がありました。まだ装丁の仕事をしたことがない頃、どうしても仕事で一枚絵を描きたいという気持ちが強くて、カットイラストばかり描いていたらそういった依頼には繋がらないのかなと、ご依頼を減らした時期があったんです。

というのも、いろんな仕事を受けすぎて体の調子が悪くなった時期があって。バランスも崩すし、やりたいこともあるし、締め切りに追われて集中できないなと、思い切って仕事を断ってみたんです。まとめればいい金額だけど、自分の絵を活かせる仕事かどうか、自分じゃなくてもできる仕事かどうか、そこをしっかり線引きするようにしました。

依頼が減るのは正直怖かったです。生活に直結することなので、最初の3カ月くらいは不安の続く日々でした。たしかにその時期は仕事が減ったんですけど、でもそれによって自由に描く余裕ができたし、一枚絵の仕事や雑誌の表紙、特集の扉といった仕事をいただけるようになってきて、自分にとっては必要なことだったんだなと実感しています。

過去に、一度だけ編集の方に「一枚絵がない人には依頼していいかわからない」と言われたことがあって、その時に仕事を精査してよかったなと思いましたね。それがあっての今なので、段階を踏んで地道にやってきてよかったなと思っています。

 

┃ファイルWeb経由で依頼があった印象的なお仕事

ドイツの水治療という自然療法を推進するためのイラストレーションを依頼されたことがあって、水につかっている女性のイラストレーションを制作しました。ファイルWebに掲載されているたくさんの作家さんの中から見つけ出して依頼してくださったのは、年配の方で。自分の絵柄的にそういった方に見ていただけたことがうれしかったですね。

制作した水治療のイラストレーション

 

また、これはファイルWeb経由のお仕事ではないのですが、去年初めてウィンドウディスプレイの仕事をしたんです。温浴施設・スパ ラクーアのウィンドウディスプレイのビジュアル制作を、夏、秋、冬と担当しました。

「LaQua Summer」D:ITSU(株式会社パルコスペースシステムズ)ウィンドウディスプレイ
「LaQua Summer」原画

「LaQua 」D:ITSU(株式会社パルコスペースシステムズ)ウィンドウディスプレイ
「LaQua Autumn」D:ITSU(株式会社パルコスペースシステムズ)ウィンドウディスプレイ
「LaQua Autumn」イラストレーション原画
「LaQua Autumn」原画

「LaQua Winter」D:ITSU(株式会社パルコスペースシステムズ)ウィンドウディスプレイ
「LaQua Winter」イラストレーション原画
「LaQua Winter」原画

クライアントの方は、いつか一緒にお仕事をしたいと1年くらい前から連絡をしてくださっていたのですが、なかなか機会がなく、この仕事で実現できて感慨深かったです。大きな修正もほとんどなく、自由に描かせていただけたのが印象的でした。

工程としては、先にある程度ディスプレイのレイアウトやデザインが決まっていたので、決められたスペースに描くものをラフで見てもらって、清書していくというものでした。夏のビジュアルは、イベントに合わせていくつかモチーフの要望をいただきましたが、基本は自由に楽しく描くことができました。

これまで何回か壁画を制作したことはあったのですが、ウィンドウディスプレイの場合はデジタルで描いたものを大きくプリントするので、バランス取る過程が面白かったですね。例えば、マネキンとのサイズ比率を考慮したモチーフのサイズ調整の必要性など学びにもなりました。

また、デジタルで描いているときは小さな絵でもそれが大きくなるので、実際に自分の描いたものが大きくディスプレイされているのを見ると、デジタルでは小さな描きムラでも大きく目立つことに気づくといった発見がありました。

   

┃クライアントワークの際に心がけていること

もちろんクライアントの意向に沿ったイラストレーションを描くことは第一条件ではありますが、自分の色を逸脱しないこととちょっとだけユニークさを出すことを意識しています。心がけるというよりも、自分が好きでやっているという感覚の方が近いかもしれません。

駆け出しの頃のクライアントワークはハウツーのカット制作の依頼が多かったのですが、作家活動では自分の好きな等身大のキャラクター作品を描いていたんです。ゆくゆくはそれを融合させた仕事もしたいと思っていたところ、ここ1年くらいで「人間以外のキャラクターも入れてもらえますか」とリクエストをいただくことが増えてきて、うれしさを感じていますね。

今では、お仕事によってある程度自由度があるかもしれないと感じたら、クライアントに「こういうものも描いているんですけど、入れてみてもいいですか」と確認することもあります。

 

┃使用している制作ツール

普段はiPadで描いていて、Procreateを使っています。色調整のためにPhotoshopを使うこともあります。2019年くらいに初めてデジタルツールに触れて、1年くらい試しながら今の形にたどり着いたのですが、その後も試行錯誤を繰り返しています。

長くアナログに親しんできたので、左手を使いながら描くことができないんです。なので“直接描く”という行為がアナログからデジタルに変わったという感覚ですね。面を塗るときも、塗りつぶしではなくデジタル上のブラシで手を動かして、塗っていくというようなことをしています。

クライアントワークは今後もデジタルで描く予定ですが、最近は少しアナログでも描くようになりました。2024年に京都のnuunuさんで手描き作品のみを売る企画に参加した時に、「そうだそうだ、ペンってこんなんだった」と手描きの感触が戻ってきた感覚があって。その後も何度か個展でアナログにチャレンジしています。

 

┃今後してみたいお仕事

装丁がすごく好きで、今はコンスタントにご依頼があるわけではないんですけど、定期的にいただけるようになったらいいなと思っています。一枚の絵として装丁と向き合える仕事をもっとしていきたいですね。

  

 


コナガイ香(KONAGAI Kaoru)

神奈川県横浜市在住。 主に書籍やウェブ、広告やプロダクトなど多岐にわたりイラスト提供するほか、店舗壁画や展示など作家活動も行う。 人とひとではないものの共存、日常とすこしのユーモア。

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