Artist statement
わたしはこの数年、自分の作品は『正しいピクセルアート』でなければならないという考えに囚われることが多々ありました。客観的に見ればわたしの絵はピクセルアートの中のひとつとしてカテゴライズされるためです。
わたしが作品を発表するとき、多くはその技法に着目されます。「ピクセルアートだからすごい。」「ドット絵だからすごい。」わたしは制作の中でそのカテゴリの中に存在することを求められ、それに応えようとしてきました。
しかしもとを辿れば、わたしはお絵かき掲示板をルーツにピクセルアートを描き始めたのです。お絵かき掲示板には、1ピクセルの線もアンチエイリアスのかかった線も、エアブラシもぼかしツールもありました。そこでは各々、自分の描きたい絵を自分の表現したいものに合わせたツールを選択し描いていました。
わたしは自身の制作の中で、大切なのは技法ではなく何を表現したいのかということ、1ピクセルの線もエアブラシもただの選択肢のひとつであり、『正しいピクセルアート』だけが正解ではなかったということを思い出しました。
「オルタナ」というタイトルには、ピクセルアートという技法とその文化への敬意と、それに囚われることなく自身の目指す表現に最適な選択肢を用いて制作していきたい、という思いが込められています。
なるめ Narume
北海道出身・武蔵野美術大学卒。イラストレーター、漫画家。
自身の体験をもととした”記憶の中の景色”をテーマとして、お絵かきBBSやPC98のドット表現を基としたイラストやアニメーションを制作しています。曖昧で不確かで、時には形が変わって、でも確かにどこかに存在する。自分の、あるいは誰かの記憶に重なる景色を描いていきたいです。
会場:Alt_Medium
会期:2022年8月5日(金)~8月17日(水)
時間:12:00〜20:00(最終日〜17:00)
休廊日:木曜日