第18回後編 人はどんなところに「共感」するのか|イラストレーションについて話そう 伊野孝行×南伸坊:WEB対談


─────イラストレーションについて話そう 伊野孝行×南伸坊:WEB対談

第18回後編 人はどんなところに「共感」するのか


イラストレーター界きっての論客(?)伊野孝行さんと南伸坊さんが
イラストレーションを軸に、古典絵画や現代アート、漫画、デザインなど
そこに隣接する表現ジャンルについてユル〜く、時には熱く語り合う。


うまい、きれい、他とは違うことをしている、見ていて気持ちがいい。
その絵を見て面白いと思ったり好きになる理由はいろいろあるが、
特に重要なのは「共感性」。では、どんなところに共感するのだろうか。

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第18回アイコン-2

■亜欧堂田善が描いた日本の西洋画

伊野孝行(以下、伊野):亜欧堂田善は展覧会では見ていなくて、後で図録を買ったんです。なかなかカッコ良くないですか?

南伸坊(以下、伸坊):なんか面白いね。亜欧堂田善って秋田蘭画なんかよりも前だっけ?

伊野:司馬江漢よりは後ですかね、1810年代というと。

伸坊:司馬江漢の感じだね。塗り方がこの人の方がちょっと濃い。司馬江漢のは薄〜い感じだもんね。完成度は田善の方がある気がする。写実的っていうより人物とかの配置がね。形に好みがありますね。

伊野:そう、最初に見て「うわ、変だな」って思った。日本のものをわざわざ外国人が描いたように描いてて、後ろの木とかは完全にむこうの植物ですね。でもこの妙にパンクな感じが、町田康*7が書く時代物の世界に合ってるような気がして。僕がデザイナーなら亜欧堂田善を装幀に使いたいですね。

18_7_亜欧堂田善「驪山比翼塚」

亜欧堂田善「驪山比翼塚」(1805 須賀川市立博物館蔵)

 

伸坊:うん、珍しもん好きだね。本人が面白がってやってる。銅版画の絵柄が珍しかったんだね。陰影のための線が申し訳程度に顔に入ってる。

伊野:銅版画だからいろんなものにプリントできるから、煙草入れとかに刷ってグッズ展開もしてる(笑)。

伸坊:安田雷洲*8って人もいるけど。

伊野:安田雷洲はそれほど好きじゃないんですけどね。「忠臣蔵」と「イエス誕生」を無理やり合わせている絵とか面白いって言えば面白いけど、なんかねえ(笑)。

18_8_安田雷洲「赤穂義士報讐図」

安田雷洲「赤穂義士報讐図」(江戸時代後期 本間美術館蔵)
聖書の一場面「羊飼の礼拝」が原図で、原図では生まれたばかりのイエスが描かれているところが、殺されたばかり吉良の首になっている。

 

伸坊:田善は空間の作り方もなんかふざけてる感じがあって、明らかに変なことやってやろうって思ってるね。

伊野:なんかやってやれっていうのは安田雷洲もそうかもしれないけど、その中では亜欧堂田善は絶妙にセンスがいい感じがする。それこそ「皮と身の間が美味しい」みたいな。

*7 町田康(1962-) 小説家、ミュージシャン。1981年パンクバンドINUで音楽デビュー。音楽、俳優活動を行いながら、96年「くっすん大黒」で小説家デビュー。2000年「きれぎれ」で芥川賞受賞。「パンク侍、斬られて候」(04年)以降、時代小説も手がける。現代語が混じった文体と独特のリズムが特徴的。

*8 安田雷洲(生年不詳-1858) 浮世絵師、画家。葛飾北斎の門人で、浮世絵の他に蘭画や洋風画の研究を行い、特に洋風画での評価が高い。銅版画制作でも読本の挿絵などを多数手がけ、司馬江漢、亜欧堂田善に次ぐ重要人物とされる。
 

■創作版画で活躍した谷中安規と前川千帆

伸坊:創作版画ってあったじゃない、いつぐらいなのかな。昭和、戦前かな。谷中安規*9とか、最近知って好きになったのは前川千帆*10って人。前川千帆は絵葉書として版画を売ったらしいんだけど、温泉の絵描くんだよ、女の人が温泉に浸かってたり、なんか気持ちいい。いいなあって様子を描いてる。温泉だからさ、「あーいいあーいい」ってそういう絵。

伊野:僕もいいなと思って、その温泉の絵をまとめた『版畫浴泉譜』を古本で買いました。森英二郎*11さんに「前川千帆いいですよね」って言ったら、いまいち反応が薄くて「前川千帆は漫画家出身だから絵が漫画っぽいねんな」とか言ったのかな。そういえば、納得するところもある。

伸坊:ああ漫画家出身なんだ。アニメーションもやってたみたいですね、前川千帆。

伊野:へえ〜アニメやったんですか?

伸坊:うん、絵がいいんだよ。手塚治虫とかがアニメ始めるずっと前の、本当の草創期。

伊野:いいですよね。あの頃のアニメの絵。創作版画の時代だと、僕は藤牧義夫*12っていう人が好きで。

伸坊:ああ鉄の橋とか描く? あれいいよね〜。名前覚えてなかったけど。どの時代でも、新しいもの見てカッコいい! って描きたくなるってあるよね。未来派が自動車描いたみたいに、鉄で出来た橋、描きたくなったんだろうね。

伊野:ガソリンスタンドなんかも描いてる。木版画で(笑)。当時の創作版画っていうのは、浮世絵のような職人的世界とは違う新しいものだったんですね。

18_9_藤牧義夫「給油所」

藤牧義夫「給油所」(1933頃 町田市版画美術館蔵)

 

伸坊:版画の雑誌が出てて。美術専門家向けの雑誌というよりは、愛好家向け。画集より雑誌の形っていうのが買いやすかったのかもしれない。手刷りの木版画がそのまま綴じ込みになってる。そういうブームがあったらしいね。

谷中安規は内田百閒*13の挿絵で知ってて。奈良が安規の地元らしいんだけど、たまたま旅行で奈良行った時に蕎麦屋の蔵が記念館になってて、面白かった。

18_10_蝶を吐く人_谷中安規

谷中安規「蝶を吐く人」(1933 『白と黒』41号)
谷中は版画雑誌『白と黒』の同人となり、同誌で作品を多数発表している。

 

伊野:へー。谷中安規は宇都宮かどっかにまで見に行った覚えがありますね。谷中安規は彫刻刀が買えずに、はじめは傘の骨のU字型になってるのを研いで、彫刻刀の代わりに使ってたって(笑)。内田百間の挿絵の時は時間がなくて、墨とホワイトで版画風に描いたらしいですよ。昔の印刷ってそもそもカスレがあるから、ほとんど見分けがつかないんですよね。

伸坊:ああ、ベタが真っ黒にならないから。あ〜これこれ、前川千帆の版画、「温泉来た〜!」って感じするよね。

18_11_前川千帆「湖の見える宿(信濃諏訪湖畔)」

前川千帆「湖の見える宿(信濃諏訪湖畔)」(1932 ボストン美術館蔵)

 

伊野:いいですね〜。この着物のフォルムとか、版画家特有の単純化されたものじゃなくて割とリアル。そこが漫画家っぽいのかな。

伸坊:おそらく写真撮ったか、その場でスケッチしたんだね。すごく温泉のカンジ出てる。これがさっきのアニメやった、っていうやつじゃないの。

伊野:えっ、これが前川千帆? へえー。

18_12_「なまくら刀」

「なまくら刀」(1917)
日本最古のアニメーションの一つで、前川千帆と漫画家の幸内純一の作品。

 

伸坊:面白いよね。こういう建物の絵もいい。いわゆる単純化にしてもニュアンスあるよね。昔の漫画家の人って絵うまいよね。

あのさ、アルフレッド・ジャリ*14って、劇作家で「ユビュ王」とか書いた人なんだけど、自分でも絵描いてて、味があるんだよなあ。この人の絵はね…。

18_13_アルフレッド・ジャリ「ユビュ王」

アルフレッド・ジャリ「ユビュ王」(1898)

 

伊野:大竹伸朗*15さんの「ジャリおじさん」はこれが元ネタになっているんですか。知らなかった。

伸坊:そうそう。元ネタっていうか、原作があって、絵を描いたんでしょ。ジャリの画集は出てないのかもしれないけど、出てたら見たいな。アンソール*16も好きなんだけど、だいたいオレの好みって漫画っぽいんだよね。

伊野:アンソール、僕は最初は好きじゃなかったんですけど、伸坊さんが好きって聞いて、ちゃんと見てみたらよかった。センスがいい部分と微妙なところがちょうどいい塩梅なんでしょうね。

18_14_オステンドの海水浴

ジェームス・アンソール「オステンドの海水浴」(1890 アントワープ王立美術館蔵)
行楽地オステンドの海水浴場に集まる人々を風刺的に描いた。この銅版画(1899)も作られた。

 
伸坊:これ、湯村さんみたいだよね。

伊野:ほんとだ、楽しい絵ですね。こういうのも描いてたんだ。

伸坊:描くの大変てより、描くのが楽しいって方が勝つんだね、こういう人は。オレもそういう風になりたいんだけど(笑)。

*9 谷中安規(1897-1946) 版画家、挿絵画家。1922年より木版画の制作を始め、32年日本版画協会会員となる。挿絵画家として内田百間や佐藤春夫の挿絵や装幀を手がける。都市のイメージやモダニズムに昔話や伝説、自身の幼少時の記憶が錯綜した独自の幻想世界を描く。戦時色が強まった40年以降はほとんど制作を行わず、最後は栄養失調で49歳で死去。

*10 前川千帆(1889-1960) 版画家、漫画家。京都生まれ。関西美術院で洋画を学び、上京して東京パック社や読売新聞社で漫画を描き、漫画家としての地位を確立。その傍らで版画の制作を始め、1922年日本創作版画協会会員となる。31年に創立された日本版画協会展には会員として第1回から出品。41年刊行した「日本浴泉譜」以降、日本各地の温泉を取り上げたシリーズを制作した。

*11 森英二郎(1948-) 版画家、イラストレーター。初期は大阪を拠点に活動し、木版画の手法で情報誌『プレイガイドジャーナル』の表紙などを担当。1960〜70年代の関西フォーク関連の仕事も多い。88年以降は東京を拠点に、書籍の装画や雑誌のイラストレーションを手がける。

*12 藤牧義夫(1911-35?) 版画家。商業デザインを手がける傍ら木版画を始め、ドイツ表現主義の影響を受けた独自の表現様式を確立。1932年小野忠重(1909-90)らと「新版画集団」結成。35年に全長60メートルに及ぶ素描集「隅田川絵巻」を制作するが、同年9月、小野を訪問した直後に失踪。

*13 内田百閒(1889-1971) 小説家、随筆家。東京帝国大学(現東京大学)ドイツ文学科在学中に夏目漱石門下となり、漱石の没後「漱石全集」の編纂に関わる。頑固で偏屈だが独特のユーモアで知られ、「百鬼園随筆」など随筆で才能を発揮した。短編集「冥土」では幻想的な世界観が評価され、また「阿房列車」シリーズは鉄道紀行文学の嚆矢として知られる。

*14 アルフレッド・ジャリ(1873-1909) フランスの詩人、戯曲家。不条理文学の開拓者とされ、代表作である戯曲「ユビュ王」(1896)はシュルレアリスム演劇の先駆的作品と評される。早熟の天才だが破滅的な生活ぶりで、アルコール中毒に起因する結核と髄膜炎の合併症で34歳の若さで死去。

*15 大竹伸朗(1955-) 現代美術家。武蔵野美術大学在学中に渡英、デヴィッド・ホックニーらと交流を持ち、コラージュブックの制作を始める。コラージュ、ペインティング、写真、版画のほか、ミクストメディア作品、ノイズ系のサウンドパフォーマンスなど多岐にわたる活動を行う。装丁や挿絵、絵本などメディア関係の仕事も広く行い、絵本「ジャリおじさん」(1993)は不条理絵本の傑作として評価されている。

*16 ジェームス・アンソール(1860-1949) ベルギーの画家。パリなど中央の画壇とは無縁で、生涯のほとんどを故郷オステンドで過ごし独自の画風を確立した。実家が土産屋で仮面を扱っていた影響で、カーニバルの仮面がよくモチーフに登場する。20世紀に入ると次第に評価が高まり、表現主義やシュルレアリスムにも影響を与えたが、現在は異端児扱いされていた1900年以前の作品の人気が高い。

 

■何を表現したいのかが共感できる絵

伸坊:そういえば、こないだ「日曜美術館」で井上安治やってた。

伊野:我々の対談の後追ってますよ(笑)。

伸坊:あれ、もうちょっときれいに写してやればいいのにって。こんな小ちゃい絵をめちゃめちゃ拡大するから。ちゃんと安治のよさ伝わったかなあって。オレ小林清親はじめて見たのがTVの光る画面だったんで、ものすごくきれいで感動したんだ。

伊野:光線画のリアルさ、このぐらいの描き込み具合で、このぐらいの陰影でって、そういう風に描けば感じが出るんですよね。

伸坊:そうなんだ。描き込みすぎないとこがいい。見る人が味わいながら味付けしてくみたいな、隙間があるっていうか、景色見てる時の気持ちよさだよね。

伊野:小出楢重*17もそんな感じですよね、すごくいい。

伸坊:小出楢重の風景もいい。なんかとぼけてて(笑)。この自画像の白い服の陰影もいいね、たっぷりしてて。小出と劉生、出会ってるんだけど、なんか気が合わなかったみたいだね、両方面白いのに。でも似てるとこあるよねこの二人。鈴木信太郎*18って知ってる?

伊野:あ、鈴木信太郎は今日「笑い」がテーマなら話題に出るかなと思ってて。

伸坊:鈴木信太郎もね、オレは子どもの頃リアルタイムで見てる。洋菓子屋とか喫茶店の看板の絵とか今でも残ってるよね。

伊野:西荻の「こけし屋」ですね。もう1軒ありましたね、学芸大学に。挿絵もすごくいいですよね。「三等重役」という挿絵全集に載ってるやつ。

伸坊:異国と出会った頃の絵っていうか、珍しい世界を描いてる感じも面白いね。

伊野:そうそう、異国ものに合うんですよね、鈴木信太郎って。

小出楢重「海」(1930 東京国立近代美術館蔵)

小出楢重「海」(1930 東京国立近代美術館蔵)

 

18-16-鈴木信太郎「こけし屋」

鈴木信太郎「こけし屋」の包装紙図案(1949) こけし屋ホームページより

 

伊野:以前もこの対談で取り上げていますが、長谷川潾二郎。潾二郎がなぜいいかっていうと、絵を描く時、一番描きたい見せどころってありますよね、光の当たってるハイライトとか、人間の目の玉とか。普通はそこでキメたがるもんですよ。でも、長谷川潾二郎はホーローのテカってるとこもそんなにはキメて描かない。だからこそ共感できるのかな。「こんな感じだよね」っていうのは、はっきりしちゃうと「こんな感じ」じゃなくなっちゃうっていうか。

伸坊:適当にへた?(笑) へたっていうか、うまいとこ見せようとしてない。

伊野:さっきの小出楢重の陰影は、影が落ちてるのをぱっと見た時に瞬時に思う「あっ、影ってきれいだな」って感じ。

伸坊:そうか、気持ちだね。ここいいなあと思ったそこ通じると、うれしいんだ。小出楢重の裸婦は、日本人の肌の光沢描きたかったんだろうって、そのよさは分かる。オレも分かる分かるって、そこがいいのかもね。

*17 小出楢重(1887-1931) 洋画家。東京美術学校では当初日本画科で下村観山に学ぶが、のちに洋画科に転向。文展では落選を続けたが、二科展で入賞を果たす。西洋の模倣ではない日本独自の油彩画の確立を目指し、東の劉生、西の楢重と称された。特に裸体画の評価は高く、楢重は理想化された身体ではなく、日本人女性の持つ肉体の量感や肌の色艶を追求した。挿絵やガラス絵でも実績を残したが、生来病弱で43歳で病没。

*18 鈴木信太郎(1895-1889) 洋画家。白馬会洋画研究所で黒田清輝に師事、のちに石井柏亭に師事する。風景や花、果物、人形など親しみやすいモチーフと、遠近法など従来の絵画技法に捉われない大らかな画面構成、明瞭な色使いで人気を得た。当初は図案家を目指したこともあって、洋菓子店などの包装紙の絵も手がけており、そちらで目にする機会も多い。
 

■一番共感できるのは「我が意を得たり」の部分

伊野:本を読んで「いいこと書いてるな」って思うのは、自分が考えてもみなかったことに感心することもあるけど、だいたいが普段自分がなんとなくそう感じていることをうまく言葉にしてくれている時。結局、文章も絵も自分が感じたことを再現して、それに対して他人が共感するということなんでしょうか。

伸坊:だいたいそうだよね、自分が思ってもみないことよりも、思ってたけど忘れていたこと。そっちの方が自分の中に呼応するものがあるんですよ。

また川瀬巴水には悪いけど(笑)、なんでこんなに丁寧できれいに仕上げてるのに不満に感じるのか考えると、全部描いちゃってて「そうそう、ここがいい」っていう隙がないんだよ。隅々まで描き過ぎないことの良さってあると思う。

伊野:あんまり詩的じゃないんですよね。

伸坊:美人て平均顔なんですね、いろんな人の顔を沢山重ねていくと、いわゆる美人の顔になる。生物学的にはシンメトリック(左右対称)で、それを美しいと思うように人間の脳は出来てるんだって。左右対称の人の方が健康だっていうデータもあるのね。生物学ではそういう話が生殖の方に必ずいくんだけど。

何を美しいと思うかっていうのも、変わったもの、珍しいものが好きで、ただ美しいだけじゃつまらないと思うのは生物学的には何かの不幸かもしれないね。オレは面白い方がいいって考えだけど。「面白けりゃいいってもんじゃない」っていう人が必ずいる。

伊野:丹下左膳*19は思いっきり左右非対称ですけど、面白かっこいいですからね(笑)。なぜ面白いのかってことを分析していくと、そっちにも生物学的に裏付けがあったりして。

伸坊:どんどん話拡散するけど、まとめるの難しくないすか?

編集:どこかで話そうとしてきっかけがなかった作家が今回いっぱい出たので、無理に話の流れを作ろうとせず、このままざっくばらんにまとめるのでもいいかなって気がしました。

伸坊:そうなんだよね。あらかじめ流れを決めて、まずこの話、次はこの話ってやっていくと、なんかまじめになっちゃう。

伊野:僕もそれがいいんじゃないかと思います。今回は絵を見ながら話そうと言ってたんだけど、こうやって話してると結局違うところに話が飛んじゃったりしますよね(笑)。

編集:そうやって話が飛んだり脱線するのが「絵の雑談」であるこの対談の本来の趣旨に近いのかもしれません。

伊野:要所要所で絵の話に戻って、そこからまた違う話に飛ぶ(笑)。

(第19回は10月15日公開予定です)

*19 丹下左膳 林不忘(1900-35)の新聞小説とその主人公。右目と右腕のないニヒルな剣客で、元は「新大岡政談」の登場人物の一人だったが、小田富弥(1895-1990)の挿絵の魅力もあり人気となった。映画やドラマも作られ、ヒットした。


取材・構成:本吉康成


<プロフィール>

伊野孝行 Takayuki Ino第18回伊野アイコン1971年三重県津市生まれ。東洋大学卒業。セツ・モードセミナー研究科卒業。第44回講談社出版文化賞、第53回 高橋五山賞。著書に『ゴッホ』『こっけい以外に人間の美しさはない』『画家の肖像』がある。Eテレのアニメ「オトナの一休さん」の絵を担当。http://www.inocchi.net/


南伸坊 Shinbo Minami第18回南伸坊アイコン1947年東京生まれ。イラストレーター、装丁デザイナー、エッセイスト。著書に『のんき図画』(青林工藝舎)、『装丁/南伸坊』(フレーベル館)、『本人の人々』(マガジンハウス)、『笑う茶碗』『狸の夫婦』(筑摩書房)など。
亜紀書房WEBマガジン「あき地」(http://www.akishobo.com/akichi/)にて「私のイラストレーション史」連載中。

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