著作権の保護期間はどうなっているの?|【Web連載】イラストレーターと著作権 第2回


【Web連載】イラストレーターと著作権 第2回

本連載は、イラストレーターやイラストレーターといっしょに仕事をする方々のために、著作権の基礎知識から運用上の注意点まで、主にQ&A方式でわかりやすく解説していきます。

一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)編
アドバイザー:大川宏/亀岡知子(総合法律事務所あおぞら)
イラストレーション:中村 隆

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著作権の保護期間はどうなっているの?

Q:著作権の保護期間はどのようにして決まったのでしょうか。

A:現行法はベルヌ条約に基づいて作者の死後50年と定められています。

現行法では、著作権の保護期間の50年(51条~ 54 条)は、著者が死亡した日、著作物が公表された日、著作物が創作された日の属する年の翌年の1月1日から起算することになっています(57条)。物に対する所有権は物がある限り続きます。人の創作物は先人の業績の上に成り立っているので、創作の成果を永久に個人に独占させることは妥当ではなく、一定の期間が経過したら公共財(パブリックドメイン)として広く利用されるのが文化の発展に寄与することになります。また、著作権は他人の行為を禁止する強い効力を持っていて、表現の自由と衝突する側面があるため、期間を限定するのが相当であるという考えに基づいています。

他方で、クリエイターには創作へのインセンティブを与えるべきであるという考えがあります。この両者の調整が保護期間に反映しています。日本では、保護期間について、明治32年に施行された旧々著作権法では30年とされました。その後、昭和37年に改正作業が始まり、昭和44年12月8日施行の旧法では38年、昭和46年1月1日に施行された現行法では、特別の定めがないときは死後50年とされています。なお、この改正は、ベルヌ条約ブラッセル改正という国際条約では保護期間について死後50年を最低限の義務としていることから、この条約を批准するために行なわれています。


Q:著作権の保護期間は著作物によって違いがあると聞きますが、どのようになっていますか。

A:作者が個人のものと団体名義のもので異なります。
また、海外の著作物には「戦時加算」という例外規定が適用されるものがあります。

一般に、著作権の保護期間は著作者の死後50年とされています(51条)。しかし、著作物によって以下の違いがあります。無名、変名の著作物、団体名義の著作物については、原則として、公表後50年とされています(52条、53条)。また、映画の著作物については、公表後70年とされています(54条)。いずれも例外がありますので注意して下さい。

このほか、著作権の期間については「戦時加算」という例外があります。これは第二次世界大戦の戦勝国が日本に課した特別扱いで、戦争中は連合国及びその国民が有していた著作権は実質的に保護されていなかったという前提で、「連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律」によって保護期間の加算が規定されています。

例えばアメリカの場合、戦争が始まる1941(昭和16)年12月7日以前に発生した著作権については、1941年12月8日から平和条約が発効した1952(昭和27)年4月28日の前日までの3,794日(10年4カ月余)、戦争中に発生した著作権については創作日から1952年4月28日の前日まで保護期間が加算されています。戦時加算特例が認められた裁判には、ポパイネクタイ事件(最高裁第一小法廷平成9年7月17日判決)、キューピー著作権事件(東京高裁平成13年5月30日判決)があります。ケースによっては、戦時加算の結果、次の法改正でさらに保護期間の延長が認められる不合理があると指摘されています。


Q:著作権が切れた著作物はどうなりますか。

A:パブリックドメインとして誰もが利用できるようになります。

保護期間が終了した著作物は著作権が消滅し、誰もが自由に利用できる「パブリックドメイン(公共財産)になります。例えば、クラシック音楽のほとんどは著作権保護期間が終了しているので、誰もが自由に演奏したり録音して放送・販売することが可能です。著作権が切れた古典文学や絵画も同様で、権利継承者に許可を取らなくても複製や出版等が可能です。

ただし、著作権保護期間が終了しても著作者人格権は残っているとされています。著作者に無許可の改変などは、具体的な年数ではなく「孫の代」までは差し止め請求ができると定められています。

イラストレーターと著作権-02-01

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一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)編
アドバイザー:大川宏/亀岡知子(総合法律事務所あおぞら)