イラストレーターの仕事のトラブル-02|【Web連載】イラストレーターと著作権 第11回


【Web連載】イラストレーターと著作権 第11回

本連載は、イラストレーターやイラストレーターといっしょに仕事をする方々のために、著作権の基礎知識から運用上の注意点まで、主にQ&A方式でわかりやすく解説していきます。

今回は、前回記事「イラストレーターの仕事のトラブル」の番外編として、ミヤギユカリさん、渡辺浮美生さん、唐仁原教久、3名のベテランのイラストレーターからの経験を踏まえたアドバイスをお届けします。

一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)編
アドバイザー:大川宏/亀岡知子(総合法律事務所あおぞら)
イラストレーション:中村 隆

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イラストレーターの仕事のトラブル-02

 
イラストレーターと著作権-11-01
 

Q:広告などの仕事で同業他社とのバッティングを問われたり、問題になったことはないでしょうか。

A:自分だけで判断せず、まずは相手に問い合わせてみましょう。

仕事でバッティングになるかどうかはクライアントと制作会社の双方の担当者に問い合わせるようにしています。双方に伝える事によってバッティングには当たらないと言われる場合もあり、自分の判断だけではわかりません。期間がずれていればどちらの仕事もお受けできる場合があるので、詳しくはクライアントさんにお聞きしたほうがいいと思います。幸い私はトラブルが発生したことはありません。
─────ミヤギ ユカリ

A:カレンダーの仕事は過去に遡って確認を求められます。

制作会社から同業他社の仕事をしていないかどうかの確認があり、仕事を引き受けました。数日後、「同業他社の印刷物を見た」と制作会社から連絡があり、「これは渡辺さんが制作したものですか」とパンフレットを見せられました。それは私が断った案件で、私の過去の作品を真似て描いたものでした。プレゼンテーションで決定していて、私の作品風に制作せざるを得なかったのか? カレンダーは企業の顔なので、依頼者の方は非常にバッティングに気を遣っていて、過去5〜10年のカレンダーの実績を求められる事は珍しくありません。過去10年内に同業他社の実績があるとプレゼンテーションは見送られます。

クライアントが制作会社数社に同時にプレゼンテーションの依頼をするのでしょうか、1週間の間に3社から同じカレンダーの依頼が来たこともあり、2社から来ることは珍しくはありませんでした。受けるのは最初に依頼してくれた所になりますが、(条件面で)後の方が良かったと思うことも……。制作会社から直接依頼があっていいはずなのに、間にコーディネーターが介在するケースもありました。いずれも景気が良かった時の話です。
─────渡辺浮美生

A:使用期間や範囲をきちんと決めて契約を交わしましょう。

業種によっては依頼時に同業他社の仕事をしていないか問われますし、広告の仕事では必ずこちらからも確認して、一業種一社を守るようにしています。最近ではHP上での転用や動画への流用等、使用期間や使用範囲が曖昧な依頼も多いですが、展開する範囲をはっきりと提示いただくようにして、1年や半年ごとという風に使用期間を決めて契約を取り交わし、同業種のバッティング、トラブルが起きないように気をつけています。
─────唐仁原教久


東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)Webサイト

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一般社団法人東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)編
アドバイザー:大川宏/亀岡知子(総合法律事務所あおぞら)