挿絵の描き手が次々変わる新聞小説。毎日新聞で連載中の髙村薫さんの小説「我らが少女A」
2017年9月6日 |
8月1日から毎日新聞で連載中の髙村薫さんの小説「我らが少女A」でユニークな試みが行われている。通常、新聞小説は一人のイラストレーター/挿絵画家が挿絵を担当するが、この連載ではあえて一人に固定せず、いろいろなイラストレーターが交代で起用されている。
仕掛け人は、これまで髙村さんの小説の装幀を多数手がけてきたアートディレクター/デザイナーの多田和博さん。多田さんが「挿画監修」として、挿絵の人選と絵柄のセレクトにあたっている。ポイントは髙村さんの作品世界を理解し「髙村ワールド」を表現できること。
「もともと、小説の挿絵は話を説明しすぎてはダメで、程よい距離感が大切。文章をなぞるのではなく、たとえ内容から少し距離があっても、髙村さんの作品世界が表現できていればそれでいいのではないか。新聞小説が始まって以来の長い歴史の挿絵のありように一石を投じたい」
これまでに挿絵が登場しているのは、西口司郎さんや赤勘兵衛さん、ヤマモトマサアキさん、山田博之さんといったベテラン・中堅、それに若手の西川真以子さん、鈴木理子さん。時にはフォトグラファーの写真が使用されることもある。多田さんが声をかけている中には佐藤邦雄さんや瀬戸照さんなど、細密表現ゆえ日刊連載は不可能だったベテランが含まれていて、彼らもこの作品で「新聞小説デビュー」を果たすことになる。
ベテランだけでなく若手も積極的に起用していく考えで、今後さらに多くの描き手が登場していくとのことだ。多田さんの方で随時その人選を進めているが、我こそはという描き手の応募も受付けていく。
問い合わせは毎日新聞出版 図書第一編集部
担当:永上
nagakami-t@mainichi.co.jp
毎日新聞「我らが少女A」サイト
https://mainichi.jp/girlsA/