第8回イラストレーター交流会“寺子屋”開催


アーティスト・OHGUSHIさんが主催する“寺子屋”(https://terakoya.localinfo.jp)が、先日11月10日の講義をもって第8回を迎えた。2011年にスタートした寺子屋は、講師陣のアドバイス、時には仕事への起用を通してイラストレーターたちを応援する場であり、受講者たちにとっても新鮮な交流の場になっている。今までは多数の応募があり受講出来ない人がいることも少なくなかったが、本年から見学枠が設けられたことでずいぶんと解消され、史上最多の50名を超えるイラストレーターが集まった。

講師陣は合計8人で、イラストレーションの現場をよく知るアートディレクター・クリエイティブディレクター、プロデューサー、エージェント、編集者、そしてアーティスト、イラストレーターなど立場はさまざま。今年は本誌『イラストレーション』編集部も講師として末席に名を連ねたが、こうした活動を非営利で長く続けている主催者・講師陣からはやはり並々ならぬ情熱と心遣いを感じた。

第8回寺子屋A

寺子屋では講義が始まると受講者はまず自分の作品をプレゼンテーションし、その後分刻みのアドバイスが始まる。それぞれの講師の立場から示唆に富んだ意見が飛び交い、時には熱い議論が起こった。そんななかでも印象的だったのが、昨年・一昨年の寺子屋にも参加した受講者たちが以前よりもブラッシュアップされた作品を持って現れると講師陣から喜びの声があがること。聞くところによると寺子屋はリピーター率がとても高く、以前の受講者がボランティアとして応援・協力することもあるそうだ。

11時から19時までの講義で途中休憩は15分と強行軍だったが、それでもやや物足りないと感じるほどに時間は飛ぶように過ぎていき、講師陣からの総括で授業は終了。その後の交流会は受講者たちも緊張から解き放たれ、楽しい酒宴となった。

第8回寺子屋B

最後になったが、OHGUSHIさんがこのような活動を始めるきっかけは駆け出しの頃に親身になってくれた森本美由紀(*)さんの存在が大きいという。フリーランスで自分と向かい合い絵を描くという行為が孤独な作業であることを、身を以て知っているOHGUSHIさんだからこその場なのかもしれない。

もしも絵を描いていて誰かと気持ちを共有したい、他者のアドバイス・業界の実情をを知りたいという想いがあれば、来年11月開催予定の第9回寺子屋に参加してみてはどうだろう? 講師陣、リピーター、そして初参加の受講生たちも温かく迎え入れてくれるはずだ。

*1959年生まれ。セツ・モードセミナー卒業。さまざまな分野で活躍した、日本を代表するファッションイラストレーター。2013年病没。


寺子屋公式Webサイト
https://terakoya.localinfo.jp

OHGUSHI (アーティスト・ 寺子屋主催者)
水墨画スタイルの美人画や独自の水彩画で、グローバルブランドの広告を数多く手がける。国内外のアートや書籍、展覧会にも精力的に参加。2005年N.Y.ADC賞。主な仕事に、資生堂「TSUBAKI」メインビジュアル、EMILIO PUCCI、マックカフェ、伊勢丹年間広告、CLINIQUE、LANCÔME、Vogue Japanなど。
https://ohgushi.jp