絵本のなかの猫を集めた『絵本原画ニャー! −猫が歩く絵本の世界-』が発売。広島では、同名の展覧会も開催中


誰もが名前を知るベテランから今注目したい若手作家まで、15組の絵本作家の作品に登場する猫の絵を集めた『絵本原画ニャー! −猫が歩く絵本の世界-』が7月下旬に青幻舎から発売される。

ニャー展

 

同書は現在、広島・尾道市立美術館で開催されている同名展覧会の公式図録。展示作品を網羅した“一般的な図録”としての役割はもちろん、“図録にしか出来ないこと”を追求する工夫がいくつも施されている。なかでも、15組の作家それぞれに用意された “片観音開き”のページは同書の大きな特徴。「このページの下には何があるのだろう?」と想像しながら“紙をめくる”行為は本ならではの体験だ。ほかにも「描き下ろしミニ絵本」や「特製猫シール」などうれしいおまけが付いており、展覧会とは一味違う楽しみを味わうことが出来る。

100-ORANGE 観音見開き(開く前)

100-ORANGE 片観音02

右ページが“片観音開き”になっており、紙をめくると鮮やかな絵が現れる。

 

小説家・福永信さんが全面執筆した文章も魅力の1つ。図版に添えられた丁寧な解説も目を引くが、特に注目したいのは作家紹介文だ。来歴を読むだけで作家の人柄まで垣間見え、それぞれの人生における挑戦や試行錯誤の数々を感じ取れる。彼らの辿ってきた道筋を知り、もう1度作品を眺めれば、それまでとは異なる作品の魅力を感じることが出来るだろう。

 

にしまきかやこ 片観音(開く前)

15組の絵本作家の紹介文は、どれも読み応え十分。

絵本作家が描く魅力たっぷりの猫たちが並ぶ同書は、展示を観た方はもちろん、展示を観ていない方にとっても十分に楽しめる内容になっている。本を閉じた後に「原画を観てみたい」ときっと多くの人が思うはずだ。
尾道市立美術館での展覧会は9月1日(土)に終了するが、同展は来年以降、高松市美術館、川越市美術館にも巡回予定。本を片手に作家の筆遣いを実際に堪能すれば、絵の魅力はますます広がっていくに違いない。

 

牧野千穂 片観音

同書では浮き輪で空を飛ぶ猫や、お祭りに行く猫など、さまざまな猫に出会うことが出来る。(上記は牧野千穂さんのページからの抜粋)

 
■収録作家
100%ORANGE、町田尚子、ささめやゆき、瀬川康男、きくちちき、あきびんご、馬場のぼる、にしまきかやこ、石黒亜矢子、片岡まみこ、ハンス・フィッシャー、加藤休ミ、牧野千穂、きむらよしお、大道あや(*収録順)


2019年7月26日(金)発売 *尾道市立美術館にて先行販売中
A5判、160ページ
定価:2,200円+税


「絵本原画ニャー -猫が歩く絵本の世界-」展
会場:尾道市立美術館
会期:2019年7月6日(金)~9月1日(日)
時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)*祝日以外の月曜休
https://www.onomichi-museum.jp