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ジョーと力石に塗られた毒々しい色彩

自分がまだ小学生だった頃、髪が伸びてくると近くの散髪屋さんに行くのが、ちょっとした楽しみでした。なぜなら、そこで自分の順番を待っている間、横に置いてある「少年マガジン・サンデー・キング」を、ゆっくり読んでいられたから。当時、マンガ誌を毎週定期購読できるほどの小遣いをもらっているわけもなく、本屋さんで長いこと立ち読みするか、友達の家に行ってそこにあるのを読むか、時々自分たちで買った号を何度も繰り返し読んだりするか、していたのでした。なかでも、「巨人の星」と「あしたのジョー」の二枚看板を連載中のマガジンは毎週楽しみにしていました。
そんな時、いつものようにその散髪屋さんに行き、何冊もあるマンガの中にこの表紙(1970年22号)を見かけ、まるで不意打ちを食らったようにショックを受けたのでした。ちばてつやと横尾忠則という黄金のタッグによる、当時の例えでいえば、メガトン級のパンチを自分の脳内スクリーンに埋め込まれてしまったような驚きでした。自分の住んでいたのどかな田舎では、それ以前(1960年代)に横尾さんが手がけられた衝撃的なポスター群を知るわけもなく、だいぶ後になって、この頃の斬新な表紙(この年のマガジンのデザインを9冊やられていた)は横尾さんのデザインだとはっきり認識したのでした。多分この頃手がけられた、一連の雑誌やレコジャケのコラージュやグラフィック・デザインをきっかけに、時代にのりつつ時代に反逆しているような、周囲の洗練して進歩的な思考からは大きく異なる土着的な思考を初めて知って、アートへの入口や、日常とは違う目を開かされたように思います。
ちなみに、マンガ本編での力石徹の死後、現実で実際に、読経や焼香やエキシビジョン・マッチのある告別式が行われ、当時は社会的なニュースになりましたが、その時は内心、「大人はヘンなことするもんだな~」と、思ってました。
また、連載最終回でのホセ・メンドーサとの試合後、まっ白に燃えつきてコーナーで微笑む矢吹ジョーの有名なラストシーン。これを初めて見たときは、「あれッ、これで終わっちゃったの・・・」といった、ちょっと肩透かしを食ったような、判定でジョーが敗れたのが納得いかないような感じだったのを覚えています。何年も後になって、コミックスで全巻読み通してから、毎週こま切れに読むのとは違って、「ここではこういう必然性があったのか・・・」と、徐々にストーリーを理解していったように思います。
アップしたもう一つの画像は、当時、横尾さんのデザインされた、闇夜に浮かぶ極彩色のジャングルの中の、原住民の男女や動物たちが美しい、サンタナの「アミーゴ」(1976年)のレコジャケです。怪物的で、拡張するオブジェと化した22面体ジャケットで有名な、同じサンタナの「ロータスの伝説」(1973年)は、とても一枚の写真には納まりきらないのでアップするのをやめてしまいました。

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