『運命と復讐』 ローレン・グロフ:著 光野多恵子:訳 新潮クレスト・ブックス 新潮社装幀室 BD : 内山尚孝
裕福な家庭に育った「ロット」と、美貌の「マチルド」は、学生時代に電撃的に出会い、卒業直後に結婚する。俳優として芽の出ない夫は、貞淑で献身的な妻に支えられて、やがて脚本家として成功する。それは、幸せに満ちた人生のはずだった。 妻の『ある秘密』を知るまでは。 夫の視点で綴られた、美しき結婚生活は、後半の妻の視点で語られると一転する。マチルドの歩んできた人生が、スキャンダラスで悲劇的だった真相が明らかにされていく。 果たして、「家族の愛」は「夫婦の嘘」に打ち勝てるのか? 巧みなストーリー性と古典劇の文学性を併せ持ち、全米図書賞、全米批評家協会賞の候補となった、圧巻の大河恋愛小説! 《Fates and Furies》 ギリシャ悲劇と同じく、グロフの小説にも見せ場があり、神をも恐れぬ思い上がり、叙情詩的な愛があり、「コロス」を思わせる脇台詞まである。並外れた文芸的力作であり、登場人物たちも、そろって魅惑的だ。一読されることを強く勧めたい!! 《ライブラリー・ジャーナル》