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第6回後編 絵の見方・楽しみ方と見る時間|イラストレーションについて話そう 伊野孝行×南伸坊:WEB対談

─────イラストレーションについて話そう 伊野孝行×南伸坊:WEB対談

第6回後編 絵の見方・楽しみ方と見る時間


「イラストレーション」とは一体どんな「絵」なのか。
有名なあの描き手はどんな人なのか、なぜあの絵を描いたのか、
この表現はどうやって生まれて来たのか……。

イラストレーター界きっての論客(?)伊野孝行さんと南伸坊さんが
イラストレーションの現在過去未来と、そこに隣接するアートやデザイン、
コミックなどについてユル〜く、熱く語り合う、連続対談。

今回は描かれる絵のスタイルや表現法と見る「時間」の関係の話。
漫画やアニメーションなど「時間軸」のある表現の話題も出てきます。
 


 

 

■最初に「うまい」と思わせるのは失敗!?

伊野孝行(以下、伊野):ホキ美術館*17とか最近人気あるみたいですね。ホキ美術館については言いたいことがあるんですけど、ちゃんと観てから言わないといけないなと思って(笑)。でも遠いから行ったことない。

南伸坊(以下、伸坊):オレも一度は観に行こうって思ってるけど、ホキ美術館にある美人画って、なんか顔に傾向あるよね。あるタイプの美人。

伊野:露骨に美人ですよね。この前見たホキ美術館系の人の画集は、けっこう劣情を刺激して来る感じもあった。高級ポルノを見てるような感じ?(笑)。空山基さんの絵も刺激はしてくるけど、どこか控えめで、モロではないですよね。

伸坊:モロなのも描いてるかもしれない(笑)。

伊野:あ、モロなの思い出しました(笑)。

伸坊:確かに、イラストレーターって劣情を起こさせないように起こさせないようにしてきたところありますよね。

編集:空山さんが描く人物はモデル然としていて、肌もあえて陶器のような質感ですね。ホキ美術館のは生々しくて、身近にいそうな感じ。

伸坊:空山さんの描き方って、アメリカのピンナップの描き方で、そういう歴史があるんだよね、アメリカには。需要もあるんじゃないかな、アメリカ人好きそうだよね。

伊野:確か、クリントン元大統領の別荘に自分の絵が飾ってあったって、ご本人から聞いた気がする。

伸坊:ホキ美術館系の人ってさ、つまりああいう絵を描きたいから描いてるんで、「余計なこと言うな」だろうけど、あんまり面白かったりとかはしないよね。

伊野:うん、ホキ美術館の絵が人気があるっていうのは、この連載で話してきた「まるで写真みたい、人間業とは思えない」ってそういう理由ですよね。

一方で、今は「超絶技巧*18」っていうのも人気がある。宮川香山*19の壷とか、ネコとかが乗っかってて面白いんだけど、2、3点見たらもう飽きた。明治期の超絶技巧の展覧会は他にも何回か観たけど、僕はやっぱりお土産扱いでいいかなと思っちゃうんですよね。

伸坊:オレも苦手。超絶技巧の人って超絶技巧で安心しちゃうんだよね。安心しちゃってるからつまんない。

伊野孝行画 「明治工芸の“必殺”仕事人!!」扉絵(『美術手帖』2016年3月号)
明治の超絶技巧の人たちを必殺仕事人に見立てた絵。「実は超絶技巧には結構お世話になっております」(伊野)

 
伊野:僕はレンブラントや曾我蕭白*20の絵をパッと最初に見た時、「うまい」と思わないで、「面白い!」と思うんですよね。なんだこれすげーなって気持ちが落ち着いてから見ると、確かにうまいんだけど。だから最初に「うまい」と思わせるのはちょっと失敗だと思うんですよね。

伸坊:ああ、言える言える。

曾我蕭白「龐居士、霊昭女図屏風(見立久米仙人)」(1759) 
ウィリアム・スタージス・ビゲローコレクション/ボストン美術館所蔵


 
伊野:でも、最初にうまいと思わせちゃうのって、分かりやすいからすごく一般ウケはするんですよ。最近の河鍋暁斎の人気や山口晃さんの人気もそうだと思う。これはただディスってんじゃなくて、僕にとってはけっこう羨ましいんです。

言い方はよくないかもしれないけど、「俗受け」っていうじゃないですか。「俗受けする才能」って、努力とかじゃ絶対に身に付けられない気がするんですよ。持って生まれたものかもしれない。山口さんは世間におもねってるわけじゃなくて、自分の好きなことをやってる。僕もそのはずなんですけど、受ける受けないの差が大き〜くありますよね(笑)。時代もあるのかもしれない。あと、イラストレーターにとって、俗受けする才能は絶対に必要ですしね。

伸坊:山口晃の展覧会、館林だったかな、観に行ったの、4年くらい前。あの人、赤瀬川さんのファンなんだよね。で、実はいろんなことやってて、変なアイデア考えたりもしてて。でも、結局一番ウケるのは「うまい」ってとこだから、それを要求されるんだろうねー。

伊野:そう、本質的にはうまいだけじゃないんですよね。よく考えられてますよね、絵が。

山口晃「解読」より(2007/カンヴァス、油彩) 「山愚痴屋澱エンナーレ2007」出品作品。撮影:木奥恵三 ©︎ YAMAGUCHI Akira, Courtesy of Mizuma Art Gallery

 

*17 ホキ美術館 2010年に千葉市に開館した日本初の写実絵画専門の美術館。設立者である保木将夫氏が収集した日本の作家50人の写実絵画450点を所蔵する。新たな作家発掘のための「ホキ美術大賞」を2013年より制定。https://www.hoki-museum.jp/

*18 超絶技巧 一般人が努力しても到底到達できない、飛び抜けて高度な技術のこと。音楽家の演奏・パフォーマンスを指す場合が多いが、美術や工芸においても細密な写実画や彫刻、工芸品などを評してこの言葉が用いられることがある。

*19 宮川香山(1842-1916) 明治〜大正期に活躍した陶工で、動植物の細密な彫刻を施す高浮彫の手法による眞葛焼を考案し、海外でも絶賛された。後年は中国清朝の磁器を基に釉薬の研究を行い、独創的な磁器を中心に制作。眞葛焼は2代3代と継承されたが、3代目香山が戦災で死亡。窯も甚大な被害を受け、4代目が復興を目指すも途絶えた。初代香山の没100年を機に再評価されている。

*20 曾我蕭白(1730-81) 主に伊勢や播州、京都で活動した絵師。水墨画の高い技術を持つ一方で、大胆な構図と独特の色使いが特徴的。人物の表情をデフォルメして醜悪に描いたり、仙人や聖人君子をユーモラスに描くなど、強烈な印象を与える画風で「異端の画家」と呼ばれた。本人も変わり者として多くのエピソードが残っている。
 

■絵画鑑賞とストーリーを追って絵を見ることは別

編集:イラストレーションでは「苦労して描いたことを悟られちゃいけない」とよく言われますけど、描いた労力、手間暇のかけ方がすごい絵もあって、そういう要素って見る側の鑑賞時間にも影響がありそうですが。

伸坊:それでいうと、マンガってどんなにびっちり描いてたって、パッパパッパ見られちゃうよね。字がないページはさっと見るだけ。

伊野:そうですね、自分も読む時そうかも。

伸坊:でも、ゆっくり見てたら、それはマンガ読んだことにならないからね。違う時間になっちゃう。

編集:ストーリー展開とかコマ割りがあるので、読むスピードがあるんですね。

伸坊:でも、「どうせスッと読んじゃうんでしょ」って描き込まないと物足りないんだよ。水木しげるさんなんか、普通のコマだってびっちり描いてある。あの密度があって世界が感じられる。

編集:日本のマンガとバンドデシネ*21では、絵の違いやコマ数などの違いもあって、読む速度が違う気がするのですが。

伊野:バンドデシネは絵がすごく綺麗なんだけど、コマ割が不親切で読みにくい。

伸坊:あ、そう。それはきっと、マンガのコマ割になってないんですよ。マンガって読者の方がレベル高くなっちゃったんだよね。

伊野:僕も伸坊さんも『タンタンの冒険』が好きなんですよね。でも僕、なかなかストーリーを読みたい気持ちになれなくて、眺めて「いいなー」ってため息ついてるだけだった。ある時、伸坊さんに「ストーリー読んでますか?」って聞いたら「俺も読んでない」って言ってて安心しました(笑)。

伸坊:そうそう、『タンタン』はストーリーが面白いわけじゃない。色がきれいだし、形も構図もいい、つまり絵がいい。

伊野:だから、マンガとして読んでない。

伸坊:ストーリーっていえば、映画館のアニメで「この世界の片隅に」*22も観たし、「君の名は。」*23も観た。それまでアニメを映画館に観に行くって習慣なかったんで、「どうせ最後まで観ないだろう」と思ってたら、ちゃんと感情移入するんだよね。観てるうちに、ものすごく簡単にそういう風になっちゃうんだなあって。

伊野:おお〜、「君の名は。」までご覧になってる。僕はどっちもまだ見てません……。僕は子どもの頃からアニメを見て育ったんで、アニメも当然映画として観るんですけど、多少絵が気に入らなくても、確かに話が面白いと入り込んじゃう。

伸坊:絵を見るってのと、ストーリーが流れていてそれ見てるのって違うのかもしれないね。映画観たりアニメ観てる時は、絵はそれほど見てないのかもしれない。

伊野:うん、絵とストーリーを別のものとして見てる。僕は漫画家にもなりたかったんで、学生の頃は漫画雑誌はよく読んでました。でも、セツに行って絵画に接近するようになったり、イラストレーターの描く絵のセンスに憧れたりしてるうちに、漫画が読めなくなった。っていうか、自分の好きな絵じゃないと読む気にならない。でも、無理して読んでるうちに、ストーリーにはまると読めちゃう。

最近のアニメの背景って、ものすごいリアルですよね。キャラクターの記号的な描き方とかけ離れてて……。

伸坊:そのリアルさ加減ってのは、現実にある風景をアニメに取り込んだって新しさだったんじゃないの?

編集:「君の名は。」の新海誠*24監督の展覧会が開催されましたが、新海作品は背景がすごくリアルに描かれていて、それが他のアニメ作品にも影響を与えています。ジブリアニメの背景画展も以前ありましたけど、あのリアルさとはまた別ですよね。

伸坊:そうですね、ジブリはいったん絵にしたものから引き出してる感じ。今のアニメの背景は、どんどん実写映画に近づいてる。絵がどうってことより、現実とアニメ世界の境目がアヤフヤになる感じが面白いのかな。

新海誠展メインビジュアル © 2016「 君の名は。」製作委員会 © Makoto Shinkai / CMMMY © Makoto Shinkai / CoMix Wave Films
札幌芸術の森美術館で2月25日まで開催中の巡回展のビジュアル。巡回展はこの後、大阪(阪急梅田)、宮崎(みやざきアートセンター)などを巡回予定。
http://shinkaimakoto-ten.com/info.html

 

*21 バンドデシネ フランス語で「絵が描かれた帯」という意味で、フランスやベルギーを中心とした主にフランス語圏のコミックを指す。BD(ベーデー、ベデ)と略すこともある。日本の漫画と比較すると大判でページ数が多く、細密に描き込まれ彩色されたものが中心で、コマ割は概して平板的で単調と言われる。日本の漫画家やイラストレーターにもBDから影響を受けた人は多い。

*22 この世界の片隅に 片渕須直監督による劇場アニメーション。原作は『漫画アクション』(双葉社)に連載されたこうの史代の同名の漫画。第二次大戦中に広島市から軍港のある呉に嫁いだ主人公・すずが、さまざまな苦難に遭いながらもたくましく生きる姿を描く。2016年劇場公開。クラウドファインディングにより資金調達したことでも話題となり、ロングラン上映された。

*23 君の名は。 新海誠監督による長編アニメーションで、公開は2016年。「入れ替わり」を経験した男子高校生と女子高生が、入れ替わっている時の記憶を頼りに互いを探し求める。国内興行収入で歴代4位となる250億円を記録、海外でも高い評価を得ている。

*24 新海誠(1973-) アニメーション監督。ゲーム会社でパッケージやオープニングムービーを制作する傍らアニメーションの自主制作を始め、CGアニメーションコンテストなどで受賞。退社後制作した25分の劇場用作品「ほしのこえ」(2002)がインディペンデント作品としては異例のヒットとなり、以後5本の劇場用長編作品を監督制作。緻密で美しい背景描写が新海作品に共通する特徴となっている。
 

■アニメーションの絵はなぜ同じに見える?

伸坊:それにしても、アニメの絵って、どうしてあんなに一種類になっちゃったのかな。

伊野:深夜に必ずアニメを何本かやってますけど、みんな絵が同じですよね。

編集:時代ごとにキャラクターデザインの流行も変化するだろうし、興味を持って見るかどうかでも違って来ると思います。夜中にやってるのは当然ながら子ども向けではなく大人ターゲットなので、絵が同じに感じるのはそれも一因かもしれません。

伸坊:ああ〜。

伊野:僕も昔は浮世絵を見て、誰が描いてるのか区別がつかなかった。それと同じですかね?

伸坊:いろんな絵があるっていう前提がない気がする。

編集:アニメって、同じ作品でも1話ごとに制作スタジオが変わったり作画監督*25も変わったりして、ファンにとっては毎回「絵が違う」らしいです。

伊野:確かに、「ルパン三世」でも回によって絵が違ったりしてました。それを楽しむ要素もある。

伸坊:テレビでやってる「サザエさん」のアニメさあ、なんであんなに原作と違うの? 長谷川町子*26は自分は絵がうまくないってずっと言ってたらしいんだけど、すごくうまいんですよ。アニメの絵は全然へたでしょ。

伊野:昔から、アニメ化されると「え〜っ」ってのはありましたよね。伸坊さんは原作のどの時代が好きですか? 最初の方って、けっこう頭身が高いですよね。

伸坊:うん、あれはあれでフンイキあるよね。

伊野:僕もあの当時のは結構好きですね。新聞連載の後期の方は、頭身は今のアニメに近いけど、顔は違いますよね。長谷川町子は、驚いた表情なんかの時に若いキャラでもシワを描き入れるんだけど、アニメのはツルツル。

南伸坊画 「サザエさん」アニメ版&原作漫画のヘタ模写

 
編集:アニメ化する際に、大勢のスタッフが同じように描けるようにするためのキャラクターデザインがあります。原作と絵が違うのは、そういう事情もあるようです。

伸坊:あー、絵を合わせるためねえ。

伊野:分業化された仕事ですしね。その点、「ドラえもん」は違和感なくスムーズにアニメに移行しましたね。もう、漫画の時から分業化というのを頭に入れた絵なんでしょうね。原作者が亡くなっても描き続けられるという(笑)。

編集:アニメ化される時に絵が変わることもありますが、原作の漫画そのものが途中でだんだん絵が変わっていくこともありますね。

伸坊:それはある。だいたい変わりますよ。

伊野:いつだったかな、深夜に「墓場の鬼太郎」をアニメ化してたんですね。「ゲゲゲの鬼太郎」じゃない、鬼太郎がタバコ吸ったりする方の。あれはけっこうよかったですよ。さすがに貸本漫画時代の水木さんの絵とは同じようにはいかないんだけど。だから「サザエさん」も東芝提供のアニメが終わるなら、深夜に初期の長谷川町子の絵でやってほしいですよね。頭身高くて、戦後でさ。
 

*25 作画監督 アニメーション作品を作る際に、絵柄のバラつきを抑え統一感を持たせる役割で、相応の技量を持ったアニメーターが務める。毎週放送される作品では複数の制作スタジオが関わるため、複数の作画監督が回ごとに担当することが多い。

*26 長谷川町子(1920-92) 日本初の女性プロ漫画家。1934年14歳で「のらくろ」の作者・田河水泡に師事、翌15年『少女倶楽部』で漫画家デビュー。代表作「サザエさん」は46年「夕刊フクニチ」で連載を開始、49年から「朝日新聞」で連載された(〜74年)。69年にはテレビアニメ化され、国民的アニメとして作者没後の今日まで放送が続いている。
 

■イラストレーターはAIに淘汰されるのか

伸坊:ところで、コンピューターソフトに「写真を絵っぽくするエフェクト」とかあるじゃない。どうなのかな、これは描いたものなのか写真なのかホントに分からないぐらいに出来るの?

伊野:けっこうそうなって来てますよね。

編集:有名なところでは、Corel Painter*27というソフトに「ゴッホ調」にする機能があります。

Painterの「自動ゴッホタッチ」効果の作例。(Corel Corporationサイトより)

 
伊野:水彩で描いたみたいになるやつとかね。かなりそれっぽく変換できる。そういうアプリが出て来た時に、写真を絵にしているイラストレーターはどうするんだろうと思いました。

伸坊:それはずっと前から思ってた。コンピューターが描けない絵って何かっていうと、渡辺和博とか湯村さんみたいな絵でしょ。AI*28だって崩すことは出来るんだよね、崩すだけなら、ランダムに崩していくことは可能。

伊野:崩すことは出来ても、「いい崩し方」まで判断は出来ないですかね。

伸坊:好きな人にとっては「この形の崩れ方がいい」ってなるわけじゃん。それは魅力だから。なんでそういう形をいいと思うのか、面白いと感じるのか。なんか秘密があるはずだよね。

伊野:ヘタや稚拙な絵の秘密についてもまた話したいですね。

伸坊:そうね。これまですごく時間がかかったのがコンピューターで省力化が出来て、例えばアニメーションだったら、動かすだけならものすごく早くできるようになったと思うんですよね。そういう意味では、リアルなイラストレーションを写真から起こしたとしても、絵に見えるようにすることは現時点でもう出来てるってなると、どうなるの?

でもアレかな、時間かけて描いた執念や情熱、そういうものは機械が描いたんじゃにじみ出ないよね。

伊野:ちょっと前にネットで見た、AIがレンブラントの絵を学習して描いた絵が、かなりレンブラントでしたね。実際見てないから、どの程度かはよく分かんないけど、レンブラントの気持ち的なものも感じれるようなレベルに見えた。

AIで小説書けるぐらいですから、メールの打ち合わせも出来るかも。そして絵に頓知を利かせるくらい出来るかも。そこまで行ったら、きっと「イラストレーションについて話す」ことも出来るでしょう。そうしたらもう、この世の全てについてみんなで一から考え直さなければなりません(笑)。

伸坊:アハハハ。でもまァ、AIが絶対描けないような絵を描くのが絵描きなんだよ。


*27 Painter コーレル社が開発・販売しているデジタルペイントツール。ペンタブレットによる描画を前提に、油彩や水彩絵具、クレヨン、パステル等、実際の画材をシミュレートしたブラシ機能により、手描きのようなタッチ・風合いの絵が描ける点が特徴。デジタル絵画やイラストレーションのほか、アニメーションの背景や映画のマットペイントにもよく使われている。

*28 AI 人工知能(artificial intelligence)の略で、人間の知的能力をコンピューター等で実現するプログラムやシステムのこと。当初は情報処理や工業機械、家電等の制御などで応用が進んで来たが、近年は音楽や絵画等の芸術分野への応用研究も進み、AIによる「創作物」の著作権帰属を巡る論争も起っている。
 
取材・構成:本吉康成
 


<プロフィール>

伊野孝行 Takayuki Ino

1971年三重県津市生まれ。東洋大学卒業。セツ・モードセミナー研究科卒業。第44回講談社出版文化賞、第53回 高橋五山賞。著書に『ゴッホ』『こっけい以外に人間の美しさはない』『画家の肖像』がある。Eテレのアニメ「オトナの一休さん」の絵を担当。http://www.inocchi.net/


南伸坊 Shinbo Minami


1947年東京生まれ。イラストレーター、装丁デザイナー、エッセイスト。著書に『のんき図画』(青林工藝舎)、『装丁/南伸坊』(フレーベル館)、『本人の人々』(マガジンハウス)、『笑う茶碗』『狸の夫婦』(筑摩書房)など。
亜紀書房WEBマガジン「あき地」(http://www.akishobo.com/akichi/)にて「私のイラストレーション史」連載中。

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