著作権と契約のキホン
改めて知る・考える「著作権と契約のキホン」【第1回】著作権のキホン
なんとなくは知っていても、やはり難解なイメージが強い「著作権」や「契約」。
本連載では、改めてその基本を知ることで、イラストレーター、そして発注者であるデザイナーやクライアントのよりよい関係性、仕事の進め方について考えます。
著作権のキホン
「著作権」は「知的財産権」の1つで、「著作物」に関する権利のことです。著作権法(第2条第1項第1号)は、「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義しています。
少し難しい言い回しですが、要するに「考え」や「思い」を持って独自の表現で創作されたものであればプロアマ問わず(何気ない落書きや子どもが描いた絵なども)、そのすべてが「著作物」であり、それを創作した人は「著作者」になるということです。
著作者の権利には、おおまかに「著作者人格権」と「著作財産権」があります(詳しい諸権利については、下記の図を参照)。
「知的財産権」って何?
人間の幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるのが知的財産権制度です。
さまざまな法律により創作者の権利が保護されており、「著作権」や「特許権」など創作意欲の促進を目的とする「知的創造物についての権利」と、「商標権」など使用者の信用維持を目的とする「営業上の標識についての権利」とに大別されます。
(第2回に続く)
執筆・編集:イラストレーション編集部
企画・編集協力・イラストレーション:オオスキトモコ
監修:弁護士 大川宏(総合法律事務所あおぞら)
図版デザイン:尾崎行欧+宗藤朱音(尾崎行欧デザイン事務所)
*イラストレーターの仕事を主眼として、弁護士の監修、参考資料、これまでの事例などに基付き一般的と思われる法解釈によって構成していますが、本情報の運用結果については玄光社及び関係者共にいかなる責任も負いかねます。
*本特集は『イラストレーション』No.236掲載記事を再構成し、2024年6月12日にウェブ公開したものです。
【プロフィール】
オオスキトモコ
イラストレーター。2010年から『イラストレーションファイル』毎年掲載。仕事をする中でさまざまなトラブルに遭遇したことから、下請法や著作権法など法律の勉強を始める。2021年に国家資格「三級知的財産管理技能士」、2024年に「ビジネス著作権検定上級」合格。
大川宏(総合法律事務所あおぞら)
弁護士。得意分野は民事事件、イラストレーターの著作権関連など。『Q&Aでわかる!イラストレーターのビジネス知識』(玄光社)監修。教育機関で著作権の講義なども行っている。
【特集参考文献一覧】
ウェブサイト
● 公正取引委員会
● 公正取引委員会
「下請代金支払遅延等防止法ガイドブック コンテンツ取引と下請法」
● 公正取引委員会
● 特許庁
●厚生労働省 ※策定:内閣官房+公正取引委員会+中小企業庁+厚生労働省
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン【概要版】」
● 公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)
● 一般社団法人日本モデルエージェンシー協会(J.M.A.A)
オンラインセミナー
●日本イラストレーション協会(JILLA)
講師:弁護士 桑野雄一郎(高樹町法律事務所)
書籍・雑誌
●『illustration』No.168特集「イラストレーターのためのお仕事マナーQ&A 文書確認編」
大川宏 監修協力(玄光社)
●『プロとして知りたいこと全部。イラストレーターの仕事がわかる本』
グラフィック社編集部+竹永絵里 編(グラフィック社)
share