著作権と契約のキホン
改めて知る・考える「著作権と契約のキホン」【第11回】著作権と契約にまつわるQ&A⑦ 自分の作品が無断使用、無断転載されていた時の対処方法は?
なんとなくは知っていても、やはり難解なイメージが強い「著作権」や「契約」。本連載では、改めてその基本を知ることで、イラストレーター、そして発注者であるデザイナーやクライアントのよりよい関係性、仕事の進め方について考えます。
第5回からは、知っておいた方がよい事柄、また仕事をする中でイラストレーターの方々 が遭遇する可能性の高い具体的なトラブル、その対策などについて、Q&A形式でお答えします。
自分の作品が無断使用、無断転載されていた時の対処方法は?
現状、著作権侵害の罪は原則「親告罪」のため、イラストレーションを無断使用、無断転載した人物(侵害者)を処罰するには著作権者が自ら告訴する必要があります。まずは、侵害者に連絡し、差し止め、削除を求めましょう。連絡しても返信がない場合や、損害賠償請求をしたい場合には、侵害者を特定し、所定の手続きを踏む必要があるため、無料相談窓口や弁護士に相談し、どういった対応をするか決める必要があります。
ちなみに、他者のペットの画像を大量に収集して発信している人や、許可なく新聞や雑誌の記事の一部を読めるような形でアップするような行為も著作権侵害です。ただ、インターネット、SNSが発展した現在あまりにも日常的に目にしているため、無意識に無断使用や無断転載をしてしまう人も増えているのが現状です。自身の著作権を守るためにも、日頃から他者の著作権を侵害しないよう、今後はより気に留めておく必要があるでしょう。
(第12回に続く)
執筆・編集:イラストレーション編集部
企画・編集協力・イラストレーション:オオスキトモコ
監修:弁護士 大川宏(総合法律事務所あおぞら)
図版デザイン:尾崎行欧+宗藤朱音(尾崎行欧デザイン事務所)
*イラストレーターの仕事を主眼として、弁護士の監修、参考資料、これまでの事例などに基付き一般的と思われる法解釈によって構成していますが、本情報の運用結果については玄光社及び関係者共にいかなる責任も負いかねます。
*本特集は『イラストレーション』No.236掲載記事を再構成し、2024年7月23日にウェブ公開したものです。
【プロフィール】
オオスキトモコ
イラストレーター。2010年から『イラストレーションファイル』毎年掲載。仕事をする中でさまざまなトラブルに遭遇したことから、下請法や著作権法など法律の勉強を始める。2021年に国家資格「三級知的財産管理技能士」、2024年に「ビジネス著作権検定上級」合格。
大川宏(総合法律事務所あおぞら)
弁護士。得意分野は民事事件、イラストレーターの著作権関連など。『Q&Aでわかる!イラストレーターのビジネス知識』(玄光社)監修。教育機関で著作権の講義なども行っている。
【特集参考文献一覧】
ウェブサイト
● 公正取引委員会
● 公正取引委員会
「下請代金支払遅延等防止法ガイドブック コンテンツ取引と下請法」
● 公正取引委員会
● 特許庁
●厚生労働省 ※策定:内閣官房+公正取引委員会+中小企業庁+厚生労働省
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン【概要版】」
● 公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)
● 一般社団法人日本モデルエージェンシー協会(J.M.A.A)「出演と契約に関するガイドライン」
オンラインセミナー
●日本イラストレーション協会(JILLA)
講師:弁護士 桑野雄一郎(高樹町法律事務所)
書籍・雑誌
●『illustration』No.168特集「イラストレーターのためのお仕事マナーQ&A 文書確認編」
大川宏 監修協力(玄光社)
●『プロとして知りたいこと全部。イラストレーターの仕事がわかる本』
グラフィック社編集部+竹永絵里 編(グラフィック社)
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