著作権と契約のキホン
改めて知る・考える「著作権と契約のキホン」【第10回】著作権と契約にまつわるQ&A⑥ 支払い日を過ぎても原稿料が振り込まれない場合には?
なんとなくは知っていても、やはり難解なイメージが強い「著作権」や「契約」。本連載では、改めてその基本を知ることで、イラストレーター、そして発注者であるデザイナーやクライアントのよりよい関係性、仕事の進め方について考えます。
第5回からは、知っておいた方がよい事柄、また仕事をする中でイラストレーターの方々 が遭遇する可能性の高い具体的なトラブル、その対策などについて、Q&A形式でお答えします。
支払い日を過ぎても原稿料が振り込まれない場合には?
確認書に記入された支払い期限を過ぎた場合、まず担当者にその旨をメールや電話などで連絡してみましょう。経理上の不備などもないとは言えませんし、その場合は早急に解決されるはずです。何度このような連絡をしてもギャランティが支払われない場合には、督促の証拠が残る内容証明郵便の送付、簡易裁判所の支払督促手続き、少額訴訟などの方法があります。
簡易裁判所を通じてやりとりを進める場合、強制力は増しますが、先方から異議申し立てがあった場合は通常裁判に移行するなどの負担も予想されます。また、弁護士会などの仲裁センター「ADR」であれば簡易な手続きで申立てが出来ます。弁護士に事件として弁護を依頼する場合には費用が発生するので、ギャランティの未払い額を加味して決める必要があります。
そのほか、区役所などの無料相談窓口や弁護士事務所に時間単位で相談するのも1つの方法です。弁護士は30分5,000円~などから相談に乗ってくれる方も多く、相談したい内容を事前に簡潔にきちんと考えておけば、十分な回答が得られるでしょう。
(第11回に続く)
執筆・編集:イラストレーション編集部
企画・編集協力・イラストレーション:オオスキトモコ
監修:弁護士 大川宏(総合法律事務所あおぞら)
図版デザイン:尾崎行欧+宗藤朱音(尾崎行欧デザイン事務所)
*イラストレーターの仕事を主眼として、弁護士の監修、参考資料、これまでの事例などに基付き一般的と思われる法解釈によって構成していますが、本情報の運用結果については玄光社及び関係者共にいかなる責任も負いかねます。
*本特集は『イラストレーション』No.236掲載記事を再構成し、2024年7月16日にウェブ公開したものです。
【プロフィール】
オオスキトモコ
イラストレーター。2010年から『イラストレーションファイル』毎年掲載。仕事をする中でさまざまなトラブルに遭遇したことから、下請法や著作権法など法律の勉強を始める。2021年に国家資格「三級知的財産管理技能士」、2024年に「ビジネス著作権検定上級」合格。
大川宏(総合法律事務所あおぞら)
弁護士。得意分野は民事事件、イラストレーターの著作権関連など。『Q&Aでわかる!イラストレーターのビジネス知識』(玄光社)監修。教育機関で著作権の講義なども行っている。
【特集参考文献一覧】
ウェブサイト
● 公正取引委員会
● 公正取引委員会
「下請代金支払遅延等防止法ガイドブック コンテンツ取引と下請法」
● 公正取引委員会
● 特許庁
●厚生労働省 ※策定:内閣官房+公正取引委員会+中小企業庁+厚生労働省
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン【概要版】」
● 公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)
● 一般社団法人日本モデルエージェンシー協会(J.M.A.A)「出演と契約に関するガイドライン」
オンラインセミナー
●日本イラストレーション協会(JILLA)
講師:弁護士 桑野雄一郎(高樹町法律事務所)
書籍・雑誌
●『illustration』No.168特集「イラストレーターのためのお仕事マナーQ&A 文書確認編」
大川宏 監修協力(玄光社)
●『プロとして知りたいこと全部。イラストレーターの仕事がわかる本』
グラフィック社編集部+竹永絵里 編(グラフィック社)
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