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著作権と契約のキホン

改めて知る・考える「著作権と契約のキホン」【第5回】著作権と契約にまつわるQ&A① クライアントから著作権譲渡をお願いされたら?

なんとなくは知っていても、やはり難解なイメージが強い「著作権」や「契約」。本連載では、改めてその基本を知ることで、イラストレーター、そして発注者であるデザイナーやクライアントのよりよい関係性、仕事の進め方について考えます。

第5回からは、知っておいた方がよい事柄、また仕事をする中でイラストレーターの方々 が遭遇する可能性の高い具体的なトラブル、その対策などについて、Q&A形式でお答えします。

クライアントから著作権譲渡をお願いされたら?

「著作権のキホン」(第1回・参照)でも触れたとおり、著作者の権利のうち譲渡出来るのは「著作権(著作財産権)」のみです。ただ、本誌見解としては著作権の譲渡も出来る限り避け、著作物利用許諾契約とし、契約外の利用に関しては随時二次使用料を求める形がよいと考えています。

著作権譲渡の場合にも利用範囲や期間を限定し、相応のギャランティが支払われるなど、双方納得出来ればいいのですが、著作権者にとって不利益な条件が多かったり、合理的な理由がなかったりすることも多いからです。

例えば、場合によっては競合管理が出来なくなるというデメリットもあります。

A社に提供したイラストレーションに対して著作権譲渡の契約を結んだ後、類似製品を扱うB社と「競合他社と契約期間内に仕事をしない(競合制限)」というような契約を結んだ時に、B社との仕事が発表になったタイミングでA社が著作権を譲渡したイラストレーションを再利用すれば、トラブルに発展する可能性があります。

競合制限はなくとも、同業他社と近しいイラストレーションの利用は避けることが一般的ですし、自分の著作物がどこでどんな風に利用されているかを管理出来ないことはイラストレーターにとって大きなデメリットだと言えます。特に広告の仕事の場合には上記のような「競合」の問題があるため、それを考慮した上でギャランティを考える必要があります。

近年一般的になったストックイラストも利用するサービスによっては、「一切の著作権を譲渡すること」、「いかなる第三者に対しても著作者人格権を行使しないこと」といった規約に加え、その上で「第三者との紛争が生じた際には著作者自らの責任と負担において解決する」などの文言が記載されている場合もあります。

いまでは少なくなりましたが、コンペティションなどでも類似の規約が存在することがありますので、どちらも不利益がないか注意して確認することが必要です。

第6回に続く)


執筆・編集:イラストレーション編集部

企画・編集協力・イラストレーション:オオスキトモコ

監修:弁護士 大川宏(総合法律事務所あおぞら)

図版デザイン:尾崎行欧+宗藤朱音(尾崎行欧デザイン事務所)

*イラストレーターの仕事を主眼として、弁護士の監修、参考資料、これまでの事例などに基付き一般的と思われる法解釈によって構成していますが、本情報の運用結果については玄光社及び関係者共にいかなる責任も負いかねます。

*本特集は『イラストレーション』No.236掲載記事を再構成し、2024年7月2日にウェブ公開したものです。

【プロフィール】

オオスキトモコ

イラストレーター。2010年から『イラストレーションファイル』毎年掲載。仕事をする中でさまざまなトラブルに遭遇したことから、下請法や著作権法など法律の勉強を始める。2021年に国家資格「三級知的財産管理技能士」、2024年に「ビジネス著作権検定上級」合格。

ウェブサイト

大川宏(総合法律事務所あおぞら)

弁護士。得意分野は民事事件、イラストレーターの著作権関連など。『Q&Aでわかる!イラストレーターのビジネス知識』(玄光社)監修。教育機関で著作権の講義なども行っている。

ウェブサイト


【特集参考文献一覧】

ウェブサイト

● 公正取引委員会

 「独占禁止法とは 独占禁止法の概要」

● 公正取引委員会

 「下請代金支払遅延等防止法ガイドブック コンテンツ取引と下請法」

● 公正取引委員会

 「下請法とは 親事業者の義務」

● 特許庁

 「知的財産権について」

●厚生労働省 ※策定:内閣官房+公正取引委員会+中小企業庁+厚生労働省

 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン【概要版】」

● 公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)

「コンペティションのガイドライン」

● 一般社団法人日本モデルエージェンシー協会(J.M.A.A)「出演と契約に関するガイドライン」

オンラインセミナー

●日本イラストレーション協会(JILLA)

「クリエイターに多いトラブルと契約書のチェックポイント」

講師:弁護士 桑野雄一郎(高樹町法律事務所)

書籍・雑誌

●『illustration』No.168特集「イラストレーターのためのお仕事マナーQ&A 文書確認編」

大川宏 監修協力(玄光社)

●『プロとして知りたいこと全部。イラストレーターの仕事がわかる本』

グラフィック社編集部+竹永絵里 編(グラフィック社)

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